当店の薬膳カレーを構成する14種類のスパイスに秘められた「力」をご紹介していきます。
今回は、ブラックペッパー【胡椒(こしょう)】です。
毎日の食生活の中でもかなり身近な存在の胡椒ですが、実は、体にとても良いのです。
胡椒はインド原産のコショウ科コショウ属の植物・その果実で作られた香辛料の両方を指します。唐辛子、マスタードと並んで世界三大香辛料の一つと言われています。
胡椒の歴史
胡椒の原産地であるインドでは紀元前2500~3000年頃から胡椒が利用されていました。紀元前4世紀頃にはヨーロッパへと伝わっており、単なる香辛料としてだけではなく食材の保存用にも利用できたことや、民間薬として利用さ れていたと言われています。
日本には中国を経由して700年代頃に伝来していたと考えられています。正倉院の御物の中にも胡椒が含まれており、当時は生薬として紹介されていたようです。その後も中国から輸入され続け、平安時代に入ると調味料として利用されるようになり、1500~1600年頃、唐辛子が伝来するまでは辛味を付ける調味料として幅広く利用されていました。
胡椒の効能
【冷え性改善、代謝向上】
胡椒の辛さの主成分であるアルカロイドの一種「ピペリン」は防虫作用、抗菌作用、防腐作用などが有名ですが、最近注目されているのはフリーラジカルや活性酸素による酸化ダメージから体を守ってくれる抗酸化作用と血行促進作用。中でも血管を広げて血流を促進する作用は血行促進によって温かい血液が末端まできちんと流れることによる冷え解消に役立ってくれるのです。
また唐辛子と同様に神経伝達物質であるアドレナリン(エピネフリン)の放出を促進する作用があり、アドレナリンのエネルギー代謝を促進させる働きによって代謝向上による冷え解消効果や脂肪燃焼効果なども期待されています。
唐辛子の場合は作用が強く、摂取しすぎると精神障害などの副作用を引き起こす危険が指摘されていますが胡椒のピペリンは作用が比較的穏やかなため安全性が高いと言われています。
【胃腸機能の向上】
胡椒に含まれるピペリンには食欲増進効果や脾臓の消化酵素を刺激し消化能力向上する働きがあることが分かっています。直接的に消化を促進させるのは勿論ですが、血流量と増やし、胃腸に十分な血液を送り込む・温めることも胃腸機能の向上に繋がります。そのため血行不良や冷えから起こる腹痛・消化不良・下痢・便秘・胃もたれなど幅広い「お腹の不調」の改善が期待できると言われています。
【貧血予防・美肌作り】
胡椒はわずか2gに鉄分0.4mgを含んでいます。この数字は貧血に良い果物と言われているイチジクやモヤシ 100gの含有量を上回る含有量。手軽に振りかけられる胡椒は鉄分摂取の補助役として役立ってくれるでしょう。健康診断では何も異常なしと言われるけど体がだるい、めまい・立ちくらみがある、倦怠感や疲労感が抜けない方は胡椒をプラスしてみても良いかもしれません。
鉄分の補給やピペリンによる栄養吸収アップ、血行促進によって栄養を体内に行き渡らせる働きは体を元気にしてくれるだけではなく、お肌も元気な状態に導いてくれます。特に血行が悪くて顔色がいつもどす黒い感じに見えてしまう方や、肌細胞の栄養不足による乾燥肌や肌荒れ解消に役立ちます。
貧血・鉄不足はコラーゲン生成を低下させることも知られていますし、ピペリンには抗酸化作用もありますからアンチエイジングにも役立ってくれるでしょう。